店舗契約の注意点:不動産営業に騙されないために 

不動産の話

こんにちは、皆さん。 

新たに事業を始める際に大切なのは、どこにお店を出すかです! 特に飲食店など来店型の事業の場合、立地が売り上げを大きく左右するため、店舗選びには慎重に検討されることと思います。 

ただ、初めて事業をする際は新たな事業に夢を膨らませて、早くお店を始めたい気持ちが強くなりすぎ、店舗契約の内容確認が疎かになってしまう方も多いです。店舗契約は重要なステップであり、適切に行わないと事業の継続はもちろん、万が一事業がうまく行かなかった際も後々大きな負債を抱える可能性もあります。ここでは、ランニングコスト、解約時の原状回復、高額な保証金について冷静に判断するためのポイントをご紹介します。 

ランニングコストを見逃さない 

店舗を契約する際、希望に近い立地で且つ家賃も予算内だからといってすぐに契約をするのではなく、家賃以外のランニングコストも重要です。 

共益費:共用部分の管理費用。エレベーターや廊下、駐車場などの維持費用です。 

水道光熱費:電気、ガス、水道の使用料金。これらの費用が固定か変動かも確認しましょう。 

これらの費用が積み重なると、想定以上の出費になることがあります。契約前に詳細な費用見積もりを確認し、予算を超えないように注意しましょう。 

解約時の原状回復義務 

解約時の原状回復は、契約時に必ず確認しておくべきポイントです。原状回復とは、退去時に物件を契約当初の状態に戻すことを指します。具体的には以下のような作業が含まれます。 

内装の修復:壁紙や床材の修復、塗装の塗り直しなど。 

設備の撤去:エアコンや看板など、取り付けた設備の撤去と修理。 

清掃:専門業者による徹底的な清掃。 

これらの費用は高額になることが多く、予想外の出費となる可能性があります。 

わたしが賃貸営業をしている際に、3~4人程度が仕事する事務所をお探しのお客様がいました。お客様に気に入っていただける物件をお探しする中で、家賃は希望を若干オーバーしてしまいましたが、立地・広さともに理想的な物件を見つけることができました。ただ、以前はバーを営業していた店舗のため、当時のカウンターや一部機材が残っている状態です。もちろん事務所へリフォームをして営業をするので、リフォーム代も見積もってもらいましたがリフォーム費用も予算内で収まりましたので、契約へ手続きを進めました。 オーナー側で作成した賃貸借契約書と重要事項説明書の内容を事前にチェックしたところ、退去時には「スケルトン返却」する旨の内容が記載されていました。
※スケルトン返却とは、退去時には設備(造作物含む)などすべて撤去し、物件内には何もない状態で返却することです。 

店舗契約の場合、退去時にスケルトン返却することは契約として珍しいことではありませんし、法律的にも問題はありません。ただ、その時のお客様は新たに事業を始めるため、店舗契約も初めてで経験がなく、そのまま契約をすることもできたでしょうが、当時のわたしは「スケルトン渡しのスケルトン返却なら問題ないが」「居抜き渡しでスケルトン返却」だと、退去時に多額の費用が掛かり、お客様側のリスクが高くなってしまうためオーナーへ交渉し、スケルトン返却は免除してもらったという経験があります。 

賃貸契約のほとんどが、契約時や契約期間中ではなく解約時が最もトラブルになりやすいのです。あまり良い話ではないのですが、店舗契約での解約は事業の失敗を意味することが多いです。事業者側としては最初から失敗することを念頭に置いて店舗契約をするのは縁起が悪いと感じるかもしれませんが、解約時にも多額の費用が発生すると次の事業への資金を圧迫してしまいますので、解約の際にトラブルを避けるため、事前に退去時の条件確認と併せて入居時の状態を写真などで記録しておくことも有効です。 

高額な保証金に注意 

店舗契約では、高額な保証金が要求されることがあります。保証金とは、家賃滞納や物件の損傷に備えて預けるお金のことです。保証金については以下の点を確認しましょう。 

返還条件:解約時にどの程度返還されるのか、またその条件はどうなっているのか。 

利息の有無:預けた保証金に対して利息がつくのか。 

追加請求のリスク:物件に損傷があった場合、保証金以上の修繕費用を請求されることがあるかどうか。 

これらの点を契約書に明記してもらうことで、後々のトラブルを避けることができます。保証金は一般の住宅でいうところの「敷金」に該当します。住宅の場合、敷金は1か月~2か月程度が相場ですが、店舗契約の場合、保証金は3ヶ月~6か月分が相場となっています。人気のエリアなどでは保証金が12か月を超えることもあります。 

保証金であれば全額でないにしろ、解約時には返金される金額であるため、多少相場より高くても気にされない方もいらっしゃいますが、注意が必要です。これから事業を始めようとするのに、最初から多額の現金がなくなってしまうのは、他の部分への投資ができなくなってしまい、結果としてすぐに事業が立ち行かなくなってしまう恐れがあります。 

また、悪徳の不動産業者は預かった保証金を少しでも返金しないため、解約時にあれこれと難癖をつけてくることもあります。高額な保証金を要求された場合は、他の物件と比較検討し、本当にその物件が最適かどうかを冷静に判断することが重要です。 

まとめ 

店舗契約は、新たに事業を始めるにあたり非常に重要なステップです。ランニングコスト、解約時の原状回復、高額な保証金について冷静に判断し、適切な契約を結ぶことが成功の鍵となります。不動産営業に騙されないためには、しっかりと契約内容を確認し、納得のいくまで質問することが大切です。 

これから新しいビジネスを始める皆さんが、成功への第一歩を踏み出せるよう応援しています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。何かご質問やご相談がありましたら、いつでもコメント欄でお知らせください。 

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