容積率オーバーの中古住宅は買っても大丈夫?住宅ローン・未登記増築の注意点を現役営業マンが解説!

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※2026年11月1日時点の法令を前提とした一般的な解説です。個別の物件については、不動産会社・金融機関・建築士などの専門家にご確認ください。

はじめに|気に入った中古住宅が「容積率オーバー」だったら?

「ようやく理想の中古住宅が見つかった!」

ところが、販売資料をよく見ると、備考欄に気になる文字が……。

「容積率7%オーバー」

さらに、不動産会社に問い合わせると、過去に増築した部分が未登記になっているとのこと。

「これって違法建築なの?」

「住宅ローンは組めるの?」

「購入したあとに問題が起きたりしない?」

こんな不安を感じてしまいますよね。

まず結論からお伝えすると、容積率オーバーの中古住宅でも、住宅ローンを利用して購入できる可能性はあります。

ただし、通常の中古住宅よりも融資の審査が厳しくなったり、購入後に思わぬ費用が発生したりすることもあります。

特に注意したいのが、違法な増築によって容積率を超えてしまった物件です。

今回は、現役の不動産営業マンとして、容積率オーバーの仕組みから住宅ローン、購入前に確認してほしいポイントまで、できるだけ分かりやすく解説していきます。

そもそも「容積率オーバー」って何?

まずは、容積率について簡単に説明しましょう。

容積率とは、土地の広さに対して、どれくらいの床面積の建物を建てられるかを決めたルールです。

例えば、次のような土地があったとします。

  • 土地面積:100㎡
  • 容積率の上限:100%
  • 建築できる延べ床面積:100㎡

この土地に、1階60㎡、2階40㎡の住宅を建てた場合、延べ床面積は合計100㎡。

容積率は100%なので、上限以内に収まっています。

ところが、住み始めてから15㎡の部屋を増築したらどうなるでしょうか?

延べ床面積は115㎡となり、容積率も115%になります。

つまり、上限を15ポイント超えてしまうわけです。

これが、いわゆる「容積率オーバー」です。

「容積率7%オーバー」ってどういう意味?

ここで注意したいのが、不動産の販売資料に記載されている「容積率7%オーバー」という表現です。

例えば、容積率の上限が100%の場合、実際の容積率が107%という意味で使われることがあります。

しかし、表記だけでは具体的に何㎡超過しているのか分からないこともあります。

そのため、不動産会社には次のように確認してみましょう。

「実際の床面積は何㎡で、何㎡オーバーしているのでしょうか?」

ちなみに、容積率は用途地域だけでなく、前面道路の幅員などによっても制限されます。

また、一定の条件を満たす車庫や地下室などは、容積率の計算から一部除外できる場合があります。

販売資料の数字だけで判断せず、実際の建物の状況を確認することが大切です。

容積率オーバーの建物はすべて違法なの?

実は、容積率を超えている建物が、すべて違法建築物というわけではありません。

ここで知っておきたいのが、次の2つの違いです。

① 違反建築物

違反建築物とは、建築したときや増築したときに、建築基準法などのルールに違反していた建物です。

例えば、容積率100%までしか認められていない土地で、許される範囲を超えて増築してしまったケース。

このような建物は、違反建築物に該当する可能性があります。

違反建築物の場合、行政から違反部分の是正を求められることもあります。

場合によっては、増築部分の撤去が必要になる可能性もあるため、注意が必要です。

② 既存不適格建築物

一方、既存不適格建築物は少し事情が異なります。

建築した当時は法律を守っていたものの、その後の法改正や都市計画の変更によって、現在の基準に合わなくなった建物です。

例えば、次のようなケースです。

建築当時の容積率は150%。

ところが、その後の都市計画の変更で、容積率の上限が100%になったとします。

もともと適法に建築された住宅であれば、現在の容積率を超えていても、既存不適格建築物として扱われる場合があります。

既存不適格建築物は、現在の基準に合っていないという理由だけで、直ちに違反建築物になるわけではありません。

ただし、増築や建て替えをする際には、現在の基準への適合や、適用できる緩和措置を確認する必要があります。

ここが大切!

比較項目違反建築物既存不適格建築物
建築当時の状態法令に違反していた原則として適法
現在の基準違反状態がある現在の基準に適合しない部分がある
行政による是正求められる可能性がある基準に合わないことだけを理由に直ちに是正されるわけではない
住宅ローン融資が難しい場合がある金融機関によって判断が異なる

つまり、同じ容積率オーバーでも、**「なぜ容積率を超えているのか」**によって、法律上の扱いが大きく変わるんです。

容積率オーバーでも住宅ローンは組める?

ここが一番気になるところではないでしょうか。

結論として、容積率オーバーの中古住宅でも、金融機関によっては住宅ローンを利用できる可能性があります。

ただし、特に違反建築物の場合は注意が必要です。

住宅ローンの審査では、購入する方の年収や勤務先だけでなく、物件そのものも審査されます。

なぜなら、金融機関は住宅を担保にしてお金を貸すからです。

違反建築物の場合、将来売却するときに買主が見つかりにくくなったり、建物の評価が低くなったりする可能性があります。

金融機関としては、担保としての評価が難しくなるわけですね。

その結果、次のような対応になる場合があります。

  • 住宅ローンの取扱いを断られる
  • 希望する金額を借りられない
  • 違反部分の是正を求められる
  • 未登記部分の登記を求められる
  • 通常とは異なる融資条件になる

ただし、すべての金融機関が同じ判断をするわけではありません。

ある銀行では融資が難しくても、別の銀行では検討してもらえる場合があります。

「容積率10%以内なら融資可能」は本当?

不動産業界では、容積率の超過割合によって融資の可能性を判断する話を耳にすることがあります。

しかし、「10%以内なら必ず住宅ローンが組める」という共通ルールはありません。

金融機関ごとに審査基準は異なり、建物の状況や違反の内容によっても判断が変わります。

そのため、「7%オーバーだから大丈夫」と安易に考えるのは避けましょう。

フラット35は利用できる?

フラット35を検討している方も注意が必要です。

フラット35には建物の技術基準があり、中古住宅では原則として適合証明書が必要になります。

容積率オーバーなどの問題がある物件では、適合証明の取得や融資の可否について、事前に確認することが大切です。

増築部分が未登記でも購入できる?

容積率オーバーとあわせて、よく問題になるのが「未登記増築」です。

これは、増築によって建物の床面積が増えたにもかかわらず、その変更が登記簿に反映されていない状態をいいます。

例えば、次のようなケースです。

  • 登記簿の床面積:90㎡
  • 実際の床面積:110㎡
  • 未登記の増築部分:20㎡

建物の床面積が増える増築をした場合、原則として、変更があった日から1か月以内に建物表題部変更登記を申請する必要があります。

しかし、古い中古住宅では、過去の所有者が増築したまま登記を変更していないケースもあります。

未登記のままだと住宅ローンはどうなる?

未登記部分があると、金融機関から登記簿と実際の建物の面積が異なる理由を確認される場合があります。

また、融資の条件として、引渡しまでに変更登記を求められることもあります。

購入を検討している場合は、不動産会社に次のことを確認してみましょう。

「未登記部分は、引渡しまでに売主側で登記してもらえますか?」

登記の手続きには、土地家屋調査士への依頼費用や必要書類の準備などが発生する場合があります。

誰が手続きを行い、費用を負担するのかも、契約前に確認しておきたいところです。

登記すれば違法建築ではなくなる?

ここは特に誤解しやすいポイントです。

未登記部分を登記しても、容積率オーバーなどの建築基準法違反が解消されるわけではありません。

登記は、建物の現況などを公的な記録に反映する手続きです。

一方、建築基準法に適合しているかどうかは、別の問題になります。

「登記ができたから安心」とは限らないので、注意してください。

容積率オーバーの中古住宅を購入する5つのリスク

「住宅ローンが組めるなら、購入しても問題ないのでは?」

そう思う方もいるかもしれません。

しかし、住宅ローンが利用できることと、安心して購入できることは別です。

購入前に、次の5つのリスクを知っておきましょう。

① 違反部分の撤去が必要になる可能性

違反建築物の場合、行政から是正を求められる可能性があります。

例えば、増築した部屋を撤去しなければならなくなった場合、工事費用が大きな負担になることも。

過去の所有者が行った増築だからといって、購入後の所有者には関係ないとは限りません。

違反の内容や行政の対応状況は、事前に確認しておきましょう。

② 将来、売却しにくくなる可能性

これは見落とされがちなポイントです。

購入するときに住宅ローンで苦労した物件は、将来売却するときにも、次の買主が同じ問題に直面する可能性があります。

その結果、購入希望者が限られたり、周辺相場より価格を下げなければ売却できなかったりすることも考えられます。

住宅は一生住み続けるとは限りません。

転勤や家族構成の変化など、将来の売却も想定しておくことが大切です。

③ 建て替えると家が小さくなる可能性

例えば、現在の建物が110㎡あったとしても、現在の法律では100㎡までしか建てられない土地だったらどうでしょうか?

建て替える際に、同じ広さの住宅を建築できない可能性があります。

「将来は二世帯住宅にしたい」

「古くなったら建て替えたい」

そんな希望がある方は、特に注意したいところです。

建て替え時の建築可能面積は、容積率だけでなく、建ぺい率や高さ制限、接道条件などによっても変わります。

④ 容積率以外にも問題が隠れている可能性

過去の増築について建築確認の記録が確認できない場合、容積率以外にも問題があるかもしれません。

例えば、建ぺい率、防火に関する基準、構造上の安全性などです。

もちろん、未登記だから必ず危険というわけではありません。

ただし、見た目だけで建物の安全性を判断するのは難しいため、必要に応じて建築士などの専門家に調査を依頼しましょう。

⑤ 契約後にトラブルになる可能性

中古住宅の購入では、「契約不適合責任」についても確認しておきましょう。

契約不適合責任とは、簡単にいうと、購入した物件が契約で約束された内容と異なっていた場合に、売主が負う責任のことです。

容積率オーバーや未登記部分について、契約前に説明を受け、契約書にも明記されている場合、それらの事情を理由にあとから売主へ責任を問うことが難しくなる場合があります。

また、売主の責任を制限する特約が設けられていることもあります。

契約前には、問題点だけでなく、売主がどこまで責任を負うのかについても確認しましょう。

【内部リンク:契約不適合責任の記事】

住宅ローンの事前審査では、物件の問題点を必ず伝えよう!

ここは、不動産営業マンとして特にお伝えしたいポイントです。

住宅ローンの事前審査が通ったからといって、本審査も必ず通るわけではありません。

事前審査では、購入する方の収入や借入状況を中心に確認し、物件については十分な審査が行われていない場合もあります。

そのため、容積率オーバーや未登記部分があることを伝えずに事前審査を受けると、本審査で問題になる可能性があります。

不動産会社を通じて、金融機関に正確な物件情報を伝えるようにしましょう。


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