本ページはプロモーション(広告)を含みます
みなさんは、本を買い間違えたことってありますか?
私は今回、まったく買うつもりのなかった本を購入してしまいました。
それが、曽根圭介さんの『藁にもすがる獣たち』です。
しかも、買い間違えたことに気づいたのは、読み始めて20ページほど経ってから(笑)。
ところが、これが大当たり!
人間の欲望や葛藤、そして人生が少しずつ壊れていく様子が描かれた、なんとも恐ろしく、それでいて痛快なミステリーでした。
👉 人間の欲望や心の闇を描いた作品が好き
👉 登場人物が転落していく物語に惹かれる
👉 ハラハラする展開や、後味の悪い物語を楽しみたい
こんな方には、ぜひオススメしたい一冊です。
今回は、思いがけず出会った『藁にもすがる獣たち』について、ネタバレを抑えながら感想を紹介していきます!
そもそも買うつもりのなかった本でした(笑)
まず、この本を読むことになった経緯からお話しさせてください。
実は私、書店で別の本を購入するつもりだったんです。
いつものように、平積みされている本の上から3番目を手に取り、そのままレジへ。
なぜ3番目なのかというと、特別な理由があるわけではありません。普段からそうしているんですよね。
しかも今回は、本の表紙も確認せず、そのままお会計を済ませてしまいました。
帰宅して、さっそく読書開始。
ところが、読み進めているうちに違和感が……。
「あれ?なんだか想像していた話と違うなぁ」
最初は、思っていた内容と違う展開なのかな?くらいに考えていました。
しかし、20ページほど読んだところで、どうにも気になって本のタイトルを確認。
そこで初めて気づきました。
「これ、全然違う本じゃん!(笑)」
なんと、購入する予定だった本とはまったく別の作品だったんです。
普通なら少しがっかりするところですが、せっかく読み始めたことですし、これも何かの縁だろうと思い、そのまま読んでみることにしました。
結果として、この判断は大正解!
買い間違いがきっかけで、思いがけず面白い作品に出会えました。
こういう偶然があるのも、読書の楽しさなのかもしれませんね。
『藁にもすがる獣たち』の作品情報
著者の曽根圭介さんは、『沈底魚』で第53回江戸川乱歩賞を受賞した作家です。
本作は、お金に追い詰められた人々の欲望や葛藤、そして転落を描く長編ミステリー。
タイトルからして、なんだか不穏な雰囲気ですよね。
実際に読んでみると、このタイトルが作品の世界観によく合っていると感じました。
あらすじ|大金をめぐって交錯する3人の人生

物語の中心となるのは、それぞれ事情を抱えた3人の男女です。
まずは、サウナ店でアルバイトをしている59歳の赤松寛治。
母親の介護などで生活が大きく変わってしまった彼は、ある日、客が置き忘れたバッグの中に大量の現金が入っていることを発見します。
そのお金があれば、自分の人生を立て直せるかもしれない。
そんな誘惑が、彼の運命を動かし始めます。
続いて、FX取引で借金を抱え、返済のためにデリヘルで働いている主婦の庄田美奈。
夫からの暴力にも苦しむ彼女は、ある人物から危険な話を持ちかけられます。
そして、暴力団から多額の借金をしている刑事の江波戸良介。
本来は犯罪を取り締まる立場でありながら、自分自身も追い詰められている人物です。
まったく違う立場にいる3人。
しかし、彼らには共通していることがあります。
それは、お金によって人生を狂わされているということ。
それぞれが苦しい状況から抜け出そうともがく中で、物語は思いもよらない方向へ進んでいきます。
果たして、彼らは今の生活から抜け出すことができるのでしょうか?
三者三様の転落劇がとにかく面白い!
私がこの作品で特に面白いと感じたのは、赤松寛治、庄田美奈、江波戸良介の3人が、それぞれ違う事情を抱えながら転落していく姿です。
誰か一人の不幸を描いているわけではありません。
立場も年齢も境遇も異なる人間たちが、それぞれの事情で追い込まれていく。
この三者三様の転落劇が、なんとも面白いんですよね。
しかも、登場人物たちは最初からすべてを失っているわけではありません。
苦しい状況の中でも、なんとか現状を変えようとしています。
ところが、その選択が必ずしも良い方向に進むとは限りません。
「ここで引き返せばいいのに……」
「いや、でもこの状況だったら仕方ないのか?」
そんなことを考えながら、どんどん読み進めてしまいました。
読者としては冷静に判断できても、実際に自分が追い詰められた立場になったら、同じように判断できるのか。
そう考えると、登場人物たちを一方的に責められない怖さもあります。
物語が進むにつれて変化していく、それぞれの心境にも注目です。
全員が不幸になっていくのに、なぜか痛快!

この作品を読んでいて、自分でも少し不思議だったことがあります。
それは、登場人物たちが不幸になっていく姿を見て、怖いと感じながらも、どこか痛快な気持ちになってしまったことです。
普通、人が不幸になっていく話なんて、あまり気持ちの良いものではありませんよね。
それなのに、この作品では次に何が起こるのか気になって仕方がありません。
登場人物が追い詰められれば追い詰められるほど、物語から目が離せなくなるんです。
もちろん、現実の世界で人が不幸になることを楽しみたいわけではありません。
でも、フィクションだからこそ、人間の嫌な部分や欲望がむき出しになる展開を楽しめるのかもしれませんね。
そして、恐ろしいのが、彼らの行動をまったく理解できないわけではないこと。
お金が欲しい。
今の生活を変えたい。
苦しい状況から抜け出したい。
こうした感情は、誰でも一度くらい抱いたことがあるのではないでしょうか。
その気持ちが極限まで膨らんだとき、人間はどんな行動を取ってしまうのか。
そんな人間の弱さを感じられるところも、この作品の魅力だと思います。
赤松の介護問題には、自分の未来を重ねてしまった
3人の中でも、特に身近な怖さを感じたのが赤松寛治です。
赤松は、母親の介護によって、それまでの生活が大きく変わってしまった人物です。
私はこの部分を読みながら、少し不安な気持ちになりました。
なぜなら、これは決して他人事ではないと思ったからです。
今は普通に生活できていても、将来、親の介護が必要になる可能性は誰にでもあります。
それによって、自分の仕事や収入、生活そのものが変わってしまうかもしれません。
もちろん、介護をすること自体が不幸というわけではありません。
ただ、生活環境が大きく変化することで、精神的にも経済的にも追い詰められてしまう可能性はあると思います。
赤松の姿を見ていると、そんな未来が自分にも起こり得るのではないかと感じてしまいました。
この作品の怖いところは、登場人物たちの転落が、決して現実離れした話に思えないことです。
ちょっとしたきっかけで、今まで当たり前だった生活が崩れてしまう。
そんな現実的な恐怖があるからこそ、単なる犯罪ミステリー以上に印象に残る作品でした。
この作品は、後味の良い物語が好きな人には向かないかも?
ここまで紹介してきましたが、『藁にもすがる獣たち』は、誰にでもオススメできる作品というわけではないと思います。
登場人物たちが苦しい状況に追い込まれていくため、読んでいて明るい気持ちになるタイプの物語ではありません。
人間の嫌な部分や、欲望に振り回される姿も描かれています。
そのため、主人公が努力して成功する話や、登場人物たちが幸せになる物語を求めている方には、少し合わないかもしれません。
一方で、私はこういう物語が結構好きなんですよね。
登場人物がどんどん追い詰められ、思いがけない方向へ転がっていく。
「一体どうなってしまうんだ?」と、ハラハラしながら読み進めるのが楽しいんです。
特に、バッドエンドや後味の悪い展開を楽しめる方には、相性の良い作品ではないでしょうか。
『藁にもすがる獣たち』はこんな人にオススメ!
私がこの作品をオススメしたいのは、こんな方です。
・人間の欲望や心の闇を描いた作品が好きな人
・登場人物が転落していく物語を楽しめる人
・ハラハラする犯罪ミステリーを読みたい人
・バッドエンドや後味の悪い作品が好きな人
・複数の登場人物の視点で進む物語が好きな人
・単純な勧善懲悪ではない作品を楽しみたい人
特に、人間が少しずつ破滅へ向かっていくような話が好きな方には、ぜひ読んでもらいたい作品です。
まとめ|買い間違えた本が、思いがけない大当たりでした!
今回は、曽根圭介さんの『藁にもすがる獣たち』を紹介しました。
本来なら購入する予定のなかった作品。
しかも、買い間違いに気づかず20ページも読んでしまうという、なんとも間抜けな出会い方でした(笑)。
それでも、最後まで読んだ今では、良い買い物ができたと思っています。
赤松寛治、庄田美奈、江波戸良介。
それぞれの人生が崩れていく様子と、その中で変化していく心境。
怖いのに、どこか痛快。
そんな不思議な読書体験を楽しめる一冊でした。
そして、赤松の介護問題のように、自分の将来にも起こり得る出来事が描かれているところも、印象に残っています。
人間の欲望や弱さを描いたミステリーが好きな方。
そして、人が転落していく姿や、バッドエンドのような暗い展開を楽しめる方。
そんな方には、ぜひオススメしたい作品です。
普段なら手に取らない本でも、読んでみると思いがけない面白さに出会えることがあります。
これからは本を買うとき、ちゃんとタイトルを確認しようと思います。
……と言いつつ、また同じことをやってしまうかもしれませんが(笑)。
気になった方はぜひチェックしてみてください👇

